TNT製品 2006:72 開発ノート

2005年12月30日


これは現在開発中のTNT製品Ver.2006:72(DV72)の経過報告です。主要な機能のテストの間に他の新機能も順次追加されていきますので、これは新機能リストの一部です。

DV72の最初のカラープレートをマイクロイメージ社のウェブサイトに載せました。順次追加していきます。

TNT製品2005:71をお使いの方はDV72をダウンロードして試用することができます。
詳しくは最後のセクションをお読みください。

DV72をインストール、試用して、助言やエラーをお寄せください。ユーザの有益な助言がTNT製品の最終形を決め、信頼性を向上させます。

この文書はマイクロイメージ社『Development Notes for 2006:72』の翻訳です。

■空間データ表示

新デザインの「表示セットアップ」ウィンドウ

空間解析を進めていく途中で、ユーザはオブジェクトやグループを2次元あるいは3次元表示しています。プロジェクトの規模が大きくなると、非常に多くのレイヤーを取り扱うことになります。レイヤー追加の操作のし易さや機能の多さが複雑な地理データを効率よく視覚化するための重要なポイントです。

機能の紹介

空間データを表示するためのセットアップのインターフェースのデザインがバージョン2006:72で大きく変わりました。今回の変更は、インターフェースの簡素化と作業効率の改善のため行われました。

これまでの「空間データ表示(Spatial Data Display)」アイコンツールバーや「グループコントロール(Group Controls)」ウィンドウがなくなり、新しい「空間データ表示(Spatial Data Display)」セットアップウィンドウに代わりました。関連資料で、従来のインターフェース(2005:71以前)とDV72の新しいウィンドウを比較しています。

TNT製品の特徴であるプラットフォームによらない操作性を可能にするため、地理データの表示をセットアップ、コントロールするウィンドウの設計は、Motif(最近ではLessTif)グラフィックライブラリを使って行われました。従来のウィンドウのデザインは10年前に作られたものです。そのころは地理データも希少で、TNT製品で使用できるオブジェクトも多くはありませんでした。また内容も簡単なものでした。現在、タイプの異なる複雑なコンテントの数百の地理データにユーザは容易にアクセスすることができるようになりました。このような状況の変化に対応するため、これまでは旧来のインターフェースに機能追加をしてまいりましたが、状況はますます複雑になり、使い勝手や習得が非常に難しいものになりました。

まず最初の大きな変更は、例の大きなアイコンボタンのツールバーです。これはもはや表示処理を起動しても現れません。ツールバーからの各種表示・印刷モードの選択や、これまでのグループ/レイアウト・コントロールといった別々のウィンドウスタイルはなくなり、これからは1つのセットアップ・コントロールウィンドウに統合されましす。さらに、3次元アニメーション(動画の作成)処理も、TNTmipsのメニューバーの違う場所(Main/Publish/3D Animation...)へ移動しました。

オブジェクトの選択

新しい「空間データ表示(Spatial Data Display)」ウィンドウによって、従来のグループコントロールウィンドウにあった冗長さの多くが除去されました。例えば、CAD、ベクタ、シェープ、TIN オブジェクトといった、個別のタイプの地理空間データをレイヤー追加するボタンがなくなりました。マルチラスタレイヤーの追加を除いて、これらのオブジェクトは全て1つのレイヤー追加(Add Layers)ボタンでアクセスします。そして追加したオブジェクトタイプに対応したレイヤータイプのアイコンが自動的に表示されます。さらに、"アクティブ"グループや"アクティブ"レイヤーの考え方を強化して、個々のグループやレイヤーに対して別々に制御する必要をなくしました。今回の変更は、たくさんのグループを持つレイアウトを使うときに特に効果的です。

簡素化したレイヤー管理

レイアウト、グループ、レイヤーおよびレイヤーの詳細に対する操作は、凡例表示(LegendView)で既に使用されているものと同一にしました。+ や - のトグルボタンを使用して、項目を広げたり、閉じたりします。また右マウスボタンによって項目に固有な操作にすばやくアクセスすることができます。マックユーザも右マウスボタンと同様の操作を行うことが出来ます。最近のマックのデスクトップモデルではApple Mighty Mouseが標準で同梱されていますが、これを使えば右マウスボタンを直接使うことができます。

凡例をセットアップコントロール・ウィンドウ内にも表示することができます。項目には通常次のような3つのアイコン/ボタンが付きます:

●+/−(広げる/閉じる)ボタン
●項目の状態を表すトグル[チェックボックス]ボタン(表示/非表示、有効/無効、等を表す)
●項目のタイプを表すマーク(ラスタ、ベクタ、凡例、他)。その上でクリックすると、オブジェクトに固有のコントロールウィンドウが開きます。


要素のマーキング

もう1つの大きな変更は、要素の選択(マーキング)です。選択は、これまで英語ではセレクトとかハイライトと呼んでいました。要素のマーキングのボタンは、表示ウィンドウのツールバーに移動しました。これによって要素の選択がずっと容易になりました。これまで要素の選択をする際、ウィンドウを切り替えていましたが、その必要がなくなります。

その他の修正

以上の変更は、新しいセットアップ・ウィンドウに対する多くの変更の中のほんの一部です。多すぎてこの文書の中では十分説明できません。ユーザの方がこの新しいウィンドウに慣れるのにある程度時間がかかることでしょう。DV72の新機能のデザインや信頼性についてご意見、ご要望をいただけるのであれば、DV72をダウンロード、インストールして、あなたの考え、助言、エラー報告をお寄せください。


■表示ウィンドウの新オプション

表示ウィンドウのスナップショット

『クイックスナップショット』アイコンを使えば、表示ウィンドウの内容をラスタオブジェクトとして保存することができます。表示ウィンドウの内容をモニターと同じ解像度で希望のラスタフォーマットで保存します。最初にスナップショットを使用する時にダイアログウィンドウが現れ、スナップショットを保存する場所を指定します。最初にスナップショットを使用した時に選択したフォーマットで保存されます。試してみたところ、保存されたスナップショットにはオブジェクトと同じ座標(ジオリファレンス)が付いています。

スナップショットのファイルに対してデフォルトのフォーマットを設定できます。フォーマットとしては、TIFF, GeoTIFF, JPEG, JP2, PNGなどが、新しいプロジェクトファイルに新規ラスタオブジェクトとして作成できます。そのフォーマットに対してデフォルトの圧縮レベルを設定することができます(例えば、TIFFファイルの各種タイプ、JP2ファイルで使用されるJPEG2000圧縮に対する損失の圧縮レベル、などなど)。それ以降のスナップショットでは、その保存場所やフォーマットがデフォルト設定になり、次回スナップショットのアイコンをクリックした時はダイアログウィンドウは表示せず、自動的に記録されます。デフォルトの保存場所やフォーマットは、Options/View Options/View/Quick Snapshot メニューを使っていつでも変更可能です。

自動再描画

2005:71以前では2次元表示や3次元表示、レイアウト表示において、再描画のモードを次のように設定できました。1)変更があったときに自動で再描画する、2)再描画(Redraw)ボタンを押して必要時に更新する。DV72では表示ウィンドウのツールバーに『変化があったら自動的に再描画する(Redraw After Any Change)』アイコンがつきました。このアイコンをオン-オフすることで、再描画のし方をコントロールできます。例えば、全ての表示ウィンドウに対するデフォルト設定を「自動的に再描画する」に設定すると、このアイコンは『必要時に再描画する』ボタンに変わります。

パンシャープニング

パンシャープニングは、高解像度モノクロ画像と低解像度のマルチスペクトル画像を融合して、より鮮明で詳細なカラー画像を作成する処理です。イコノスやクイックバード画像をパンシャープニングしてナチュラルカラーやカラー赤外画像を作成する新しい手法が現在テスト中です。現在のDV72には含まれていませんが、Broveyや他の方法にくらべて非常にすばらしい結果を生み出してくれます。おそらく他の商用製品の中でも最高の結果でしょう。カラープレートが出来るまで期待してお待ちください。


■メニュー構成の改訂

TNTメニュー構造がDV72で改訂されました。TNTmips 2005:71のメニューバーの構成は、 表示(Display), 編集(Edit), 解析処理(Process), サポート(Support), ツールバー(Toolbars), ヘルプ(Help)でした。DV72では、メイン(Main), ラスタ(Raster), 各種幾何図形(Geometric), 変換(Convert), スクリプト(Script), ツール(Tools), ヘルプ(Help)から構成されます。メインメニューは、空間データの表示(Display Spatial Data), 空間データの編集(Edit Spatial Data), ジオリファレンス(属性付与)(Georeference), 入力(Import), 出力(Export)などのふだんよく使う処理から構成されています。出版(Publish)や印刷(Print From)などのメニューも含みます。
DV72の全メニュー構成


■操作の改良

ベクタのポイント要素数

ベクタオブジェクトは20億個のポイント要素(ライン、ラベルも)を扱えるように設計されています。しかし2005:71以前のバージョンでは入力できるポイント数をおよそ200万個に制限していました。四分木による索引はメモリ中に作成されていましたが、200万個を超えると、メモリ使用の非効率性のため、"メモリ不足(Out of Memory)"エラーを引き起こしていました。DV72ではこのメモリ不足の状況を避けるため、新しい四分木索引オブジェクトがメモリではなくプロジェクトファイルの中に作成されます。改良した四分木索引付けを使うことによって、より多くの要素を実際に効率的に利用することができるようになりました。

計算フィールドの実フィールドへの変換

2005:71での計算フィールドの実フィールドへの変換の速さはレコード数が100万以上になると非常に遅くなりました。他の大量レコードの操作とともに、処理速度が高速になりました。

続く...


V7.1 迄購入されているユーザは、
★ 30日間の有効期間ですが、DV7.2をそ のまま使用できます。DVバージョンも他のバージョン同様、毎週木曜日(日本時間)に更新されます。更新の都度、その日から30日間の有効試用期間になります。
★ 正式リリースされた時点でDVからRVに変わります。最後のDVのリリースから30日が最後の試用期間になります。
RV7.2を継続してお使いになるにはバージョンアップの購入が必要です。RV7.2のリリース前ですと、年間バージョンアップがお得です(7.2と7.3の年2回分で、税込み147,000円です)。正式リリース以後はRV7.2への単体のアップグレードとなります(税込み88,200円)。

2006.1.10
(株)オープンGIS