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P.1
TNT入門
地図投影の概要
草稿
1998年9月22日
TNTmips(R)
TNTedit(TM)
TNTview(R)
P.2
はじめに
ジオリファレンス処理された空間オブジェクト内の位置情報は、特定の地理基準系を基準とする必要があります。ほとんどの標準基準系では、二次元(平面)座標系の中で位置決めを行います。このような系では、地図投影を使用してほぼ球形の地球表面から仮想的な地図平面に位置を変換しなければなりません。投影処理では系に起因する空間的な歪みが必然的に生じてしまうのですが、地理的な範囲や、地図データの予定用途に合わせて特定のタイプの歪みを最小限に抑えることはできます。本書では、地図投影、地理基準系、およびTNT製品におけるこれらの使用方法について概要を説明します。投影や基準系に関するパラメータの選択手順について、一連の簡単な練習問題の中で示します。
必須基礎知識 本書では、読者が『TNT入門:地理空間データ表示』、『TNT入門:システムの基本操作』の練習問題を完了しているものと仮定しています。必須知識や基本操作についてはこれらの練習問題で説明されており、本書では繰り返して説明しませんので、必要に応じこれらのマニュアルやTNTmipsリファレンス・マニュアルで調べてください。
サンプルデータ 本書の練習問題では、TNT製品に添付されているサンプルデータを使用します。TNT製品のCDにアクセスできない場合は、マイクロイメージズ社のウェブサイトからデータをダウンロードできます。特に、本書ではSF_DATAデータ・コレクションのサンプル・ファイルを使用します。
その他の資料 本書では、地図投影と地理基準系に関する概要しか示されておりません。詳細はTNTmipsリファレンス・マニュアルを参照してください。地理基準系について25ページを超える説明が載っています。
TNTmipsとTNTlite(TM) TNTmipsには2つのバージョンがあります。プロフェッショナル・バージョンと、無料バージョンであるTNTliteです。本書では、どちらのバージョンも「TNTmips」と呼ぶことにします。プロフェッショナル・バージョンにはハードウェア・キーが必要です。このキーがない場合、TNTmipsはTNTliteモードで動作し、プロジェクト・データのサイズが制約されるほか、TNTliteの別のコピーとの間でしかデータを共有できません。TNTliteでは、添付されたサンプルの地理データを使用してすべての練習問題を完全に実行することができます。
Randall B. Smith博士、1998年9月22日、V5.90
本書の一部のイラストでは、カラー・コピーでないと重要な点がわかりにくい場合があります。マイクロイメージズ社のウェブサイトから本書を入手されれば、カラーで印刷したり表示できます。また、このウェブサイトからは、『TNT入門』のその他のテーマに関する最新のパンフレットも入手できます。インストール・ガイド、サンプルデータ、および最新バージョンのTNTliteをダウンロードできます。アクセス先は次の通りです。
http://www.microimages.com
P.3(上、左)
地図投影の概要
TNT製品の一番の特徴は、情報を特定の地理的位置に関係付ける機能があることです。使用可能な任意の形式(ラスタ、ベクタ、CAD、またはTINオブジェクト)の空間データを、ジオリファレンス処理したり、標準地理基準系に関係付けることができます。これにより、ジオリファレンス処理されたオブジェクト内の要素の位置は地理的な座標で表現され、有用な距離や面積を測定したり計算することができます。
地球の画像やユーザが使用する地図データは通常、平面(コンピュータ画面や紙など)に描画されますが、地球表面は明らかに平面ではありません。地球表面が湾曲している結果、面積がきわめて小さくない限り、あらゆる平面地図の形状、面積、距離、角度にはかなりの幾何学的な歪みが含まれています。地理的な関係を保ちながら特定のタイプの歪みを最小限に抑えた二次元地図を作成するためには、いくつかの手順が必要です。私達は、地球の形状を良く近似でき、かつ簡単な数学用語で記述可能な幾何学的モデルを選択する必要があります。また、地図平面内の地理的な場所を参照できるような座標系を採用することも必要です。さらに、理想化された地球モデルから選択した平面座標系に位置を転写(投影)する方法も選択しなければなりません。
プロジェクト・データ用のジオリファレンス・コントロールを設定する場合や、ジオリファレンス処理されたデータをインポートする場合、あるいはジオリファレンス処理されたオブジェクトを新しい投影に移したり再サンプリングする場合は、TNTmipsの中で座標系と地図投影パラメータを選択できます。また、すべてのTNT製品のSpatial Data Display(空間データ表示)処理では、表示時の幾何形状を制御したり座標を読み取るための、グループ内のレイヤー用の座標系や地図投影を変更することができます。
P.3(右)
ステップ
## TNTmipsを起動します。
## メインメニューからDisplay / Spatial Data(表示 / 空間データ)を選択します。
4〜8ページでは、座標系と地図投影の選択に使用されるインタフェースを紹介し、あらかじめ定義された使用可能なた座標系について説明します。9〜11ページでは、地球の形状と測地基準面および楕円体の選択に関する概念を説明します。12〜14ページでは地図投影について紹介し、15〜21ページでは広く使用されているいくつかの例を説明します。22ページではグループ表示における地図投影の使用方法を示します。23ページではさらに学習を進めるための資料を示します。
P.4(上、左)
Parameters(パラメータ)ウィンドウ
ステップ
## Display Spatial Data(空間データ表示)ツールバーのOpen(開く)アイコン・ボタンをクリックし、メニューからOpen Layout(レイアウトを開く)を選択します。
## SF_DATAデータ・コレクションのLAYOUTSプロジェクト・ファイルに移動し、LAYOUT2を選択します。
## View(ビュー)ウィンドウのOptions(オプション)メニューからPosition Report / Projection(位置レポート / 投影)を選択します。
P.4(上、左)
Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウインドウは、関連する処理において地理基準パラメータを設定する際に使用する標準インタフェースです。このウィンドウを使用すると、座標系と地図投影を選択したり、地球の幾何学的モデルを指定することができます。
[System...(系...)]をクリックして座標系を選択します。
座標系によっては地理的な範囲を選択する必要があります。
P.4(下)
座標系としてUserDefined(ユーザ定義)が選択されているときはProjection(投影)ボタンがアクティブになり、特定の地図投影を選択することができます。この例では、座標系を選択することによりすでに投影が定義されているため、ボタンは淡色表示になり使用できません。
Datum(基準面)、Ellipsoid(楕円体)パラメータは、地図投影の生成に使用される地球の幾何学的モデルを指定します。楕円体は通常、ユーザが基準面を選択することにより決定されます。
関連する他のほとんどの処理では、該当するコントロール・ウィンドウでProjection...(投影...)ボタンを押すことによりCoordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウインドウを開くことができます。
Position Report(位置レポート)オプションの中のProjection(投影)を選択して、View(ビュー)ウィンドウ下部のPosition Report(位置レポート)フィールド用の地理基準系を設定します。この例では、選択手順と背景にある重要な概念を紹介します。
Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウを開いたまま次ページに進んでください。
P.5(上、左)
座標系を選択する
Coordinate System(座標系)ウインドウを使用すると、あらかじめ定義されたいくつかの地図座標系の中から選択することができます。このとき、対応付けられた地図投影も自動的に指定されます。必要ならば、User Defined(ユーザ定義)オプションを使用して、各自のデータやプロジェクトのニーズにより適した地図投影や座標系を選択することもできます。
United States State Plane(米国州平面)座標系とUniversal Transverse Mercator(汎用横断メルカトール)座標系は、対応付けられた地図投影を持つ座標系です。これらの系を使用すると、州や郡などの小さい地理範囲における地物の位置、距離、形状を正確に表現することができます。どちらの系でも、それぞれが個々に座標グリッドを持つ一連の地理ゾーンを使用します。グリッド座標は慣習的に、偏東距離(南北軸に対して相対的)および偏北距離(東西軸に対して相対的)と呼ばれます。地図投影に関連して縮尺が歪む現象を最小限に抑えるため、座標軸のいずれかを地理ゾーン内に置きます。不正偏東距離または不正偏北距離と呼ばれる大きい正の値は通常、この軸に割り当てられます。この手順により、座標系の原点(0,0の点)はゾーンの外側に移動され、すべての偏北距離と偏東距離の値が必ず正になります。
Latitude / Longitude(緯度 / 経度)およびGeographic(地理)オプションはどちらも、よく知られた全地球的な球面座標を基準としています。この系では、東西方向の緯度線(緯線)と南北方向の経度線(子午線)のグリッドを使用して位置を指定します。
あらかじめ定義された座標系の各選択肢については、以下のページでさらに詳しく説明します。
P.5(右)
ステップ
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[Systems(系)]をクリックします。
## Coordinate System(座標系)ウィンドウの選択肢をチェックします。
平面座標系
南北軸
ゾーン
偏東距離
不正偏東距離を伴う東西の軸
偏北距離
グリッドの基準点0,0
## [OK]をクリックしてCoordinate System(座標系)ウインドウを閉じ、次ページに進んでください。
P.6(上、左)
ステップ
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[Zone...(ゾーン...)]をクリックします。
## 使用可能なUTMゾーンのリストをチェックし、Zone Selection(ゾーン選択)ウインドウで[Cancel(取消)]をクリックします。
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[Cancel(取消)]をクリックします。
## 画面カーソルを下図の交点の位置に移動し、View(ビュー)ウィンドウ下部のPosition Report(位置レポート)フィールドの値をチェックします。
P.6(右)
View(ビュー)ウィンドウ内のグループは、Universal Transverse Mercator(汎用横断メルカトール:UTM)座標系を基準としています。この全地球的な座標系は、米国では、地形学地図やいくつかのデジタル地図作成用データに使用されています。UTM系は、全世界を経度6度の幅の均一なゾーンに分割します。ゾーンは180度から始まり、東に向かって1番から60番までの番号が付けられています。偏東距離は、ゾーンの中央の子午線から測定され、この子午線は不正偏東距離500,000メートルに相当します。偏北距離は赤道から相対的に測定され、赤道は北半球の座標値0メートルに相当します。南半球の偏北距離は、赤道での不正偏北距離値10,000,000メートルから南に向かって減少していきます。(UTMゾーンを選択する場合は北半球または南半球のいずれかの座標を選択しなければなりません。)
UTM座標系では、小さい地理地物の形状の歪みが最小になるようTransverse Mercator(横断メルカトール)地図投影を使用しす。(縮尺の変化に関連する)距離測定の固有精度は1/2500です。
Heyward区画の高速自動車道の交差部のUTM座標
偏東距離580,349m、偏北距離4,166,094m
ゾーン10(西経120°〜126°)、1927年北米基準面
ゾーン10の中央子午線から東に80,349m
赤道から北に4,166,094m
西経126° 西経123° 西経120°
中央子午線
不正偏東距離500,000m
P.7(上、左)
州平面座標系
The United States State Plane Coordinate System(米国州平面座標系)は土地調査用のグリッド系として広く使用されてきました。この座標系は、各州の区画の座標を全国測地調査系の位置に対応付けられるように考案されたものです。North American Datum 1927(1927年北米基準面)に基づいた元の系では、フィート単位の座標を使用しています。最近のバージョンではNorth American Datum 1983(1983年北米基準面)に基づいて距離の測定単位がメートルになっています。
ほとんどの州は、複数の重なり合う州平面ゾーンに分割されており、それぞれに固有の系と投影があります。規模の小さい2、3の州では1つのゾーンが使用されています。南北のサイズよりも東西のサイズが大きいゾーンにはLambert Conformal Conic(Lambert等写円錐)投影が使用され、南北に細長いゾーンはTransverse Mercator(横断メルカトール)投影により地図化されます。縮尺の変化は最小限に抑えられ、距離測定では1/10,000の精度を実現しています。State Plane Coordinate(州平面座標)の目盛りとゾーンに関する情報は、U.S. Geological Survey(米国地質調査局)の地形学地図に示されています。
P.7(右)
ステップ
## View(ビュー)ウィンドウのOptions(オプション)メニューからPosition Report / Projection(位置レポート / 投影)を選択します。
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[System...(系...)]をクリックします。
## Coordinate System(座標系)ウィンドウからUnited States State Plane 1927(1927年米国州平面)を選択して[OK]をクリックします。
## [Zone...(ゾーン...)]をクリックし、California IIIを選択し、Zone Selection(ゾーン選択)ウィンドウで[OK]をクリックします。
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[OK]をクリックします。
## View(ビュー)ウィンドウのOptions(オプション)メニューからPosition Report / Units / Feet(位置レポート / 単位 / フィート)を選択します。
## 高速自動車道の交差部の位置に画面カーソルを移動し、Position Report(位置レポート)フィールドの値をチェックします。
## Position Report / Units(位置レポート / 単位)オプションをMeters(メートル)に設定します。
P.7(下)
Heyward区画の高速自動車道の交差部の州平面座標
偏東距離1,539,895ft、偏北距離419,137ft
カリフォルニア・ゾーンIII、1927年北米基準面
ユーザが求めた交差部の座標は、ウィンドウのサイズや倍率に関連する四捨五入の影響で、左の図に示す値と多少異なる場合があります。
原点から北に419,137ft
南北軸から西に460,105ft;偏東距離=2,000,000-460,105=1,539,895ft
西経120°30'
不正偏東距離2,000,000ft
P.8(上、左)
緯度 / 経度
ステップ
## View(ビュー)ウィンドウのOptions(オプション)メニューからPosition Report / Projection(位置レポート / 投影)を選択します。
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[System...(系...)]をクリックします。
## Coordinate System(座標系)ウィンドウからLatitude / Longitude(緯度 / 経度)を選択して[OK]をクリックします。
## [OK]をクリックしてCoordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウを閉じます
## 高速自動車道の交差部の位置に画面カーソルを移動し、Position Report(位置レポート)フィールドの値をチェックします。
北極
緯度 / 経度は、広範囲に使用可能ないくつかの空間データ形式用の元の座標系として使用されています(国勢調査局のTIGER / 線データ、世界デジタル地図、およびいくつかのタイプのUSGSデジタル標高モデルとデジタル線グラフなど)。
P.8(中の図)
北極 緯度
子午線
緯線
経度
赤道
標準子午線
P.8(右)
最も古い全地球的地理座標系が緯度 / 経度系です(Geographic(地理)座標とも言います)。これは球面座標系であるため、緯度と経度の値は標準基準平面に対する相対角度として表現されます。緯度は、赤道の北と南に0〜90度の範囲で測定されます。経度の値は、国際規則により英国グリニッチのRoyal Observatoryを通る線として定められた基準子午線から東と西に0〜180度の範囲です。(TNT製品の内部では南緯と西経の座標は負の値として処理されますが、処理ダイアログで値を入力するときは、標準的な方向による表記法を使用して負の符号を省略することができます。)
緯度 / 経度系では平面でなく回転楕円面を基準にして位置を決めるため、地図投影には対応付けられません。緯度 / 経度座標を使用すると、データ表示や空間解析が複雑になる恐れがあります。1度の緯度に相当する水平距離は地球表面上のどこでも同じになります。これに対し、経度線の間の距離は赤道において最も遠く、両極で1点に収束するため、1度の経度に相当する水平距離は緯度によって異なります。TNTmipsの多くの処理では、緯度 / 経度座標を使用するオブジェクトから得られた距離や面積の計算値を調整して、これによる影響を補正していますが、この方法による近似は、平面座標系に投影されたデータを使用した計算値に比べると精度が劣ります。Geographic(地理)座標を使用したデータがある場合は、データを平面座標系に移すか再サンプリングすることによって最高の結果が得られます。
P.9(上、左)
地球の形状
地上での通常の人間の視点から見ると、地球表面はでこぼこで不規則に見えますが、宇宙船からの画像が示す通り、惑星的な規模で見ると地球は非常に滑らかで規則的な幾何学形状を持っています。地図投影により地理座標を平面座標系に高精度に転写する場合は、この形状に関する知識が必要になります。
両極を結ぶ地軸を中心に地球が回転しているため地球は完全な球形ではなく赤道部が多少膨らんでいると最初に提唱したのはアイザック・ニュートンでした。このため、極方向の半径は赤道方向の半径より多少短くなっています。現在の測定値によると、両者の差は、赤道の半径に対する割合で示した場合に約1/298.257になり、極扁平値と呼ばれています。したがって極を通る断面で見ると、地球はわずかにつぶれた楕円になっています。極を通る軸を中心にこの楕円を回転させると、楕円体という三次元形状になります。(地形学地図などの)大規模な地図を作成する際に地図作成者が基準面として使用するのが、この幾何学形状です。
地図作成者は地球の形状を幾何学的に単純に表現する必要があるのに対し、測地学者は土地調査の基準となる水平面を定義することに関心があります。任意の点における水平面とは、その場所の局所的な重力の方向(測量者の下げ振りが指す方向)に対して直角をなす平面のことです。地形測量が局所的であることや地球内部の質量分布が不均一であることにより、局所的な重力の方向は、理想的な楕円体表面に対して正確に直角にならない場合があります。したがって、ジオイド(平均海面レベルのすベての位置で重力の強度が等しくなるようなレベルの面)は、完全な楕円体形状にはなりません。ジオイドは滑らかではありますが、理想的な楕円体と比べた不規則な起伏の大きさは100メートルにもなります。
P.9(右)
Geodesy(測地学)は、地球の大きさや形状の測定に関する科学の一分野です。
地球楕円体(つぶれ方は誇張してあります)
北極
極方向の半径
赤道方向の半径
南極
球形の緯度 / 経度座標系は、地球の楕円体形状を考慮して数学的に合わせたものであり、測地学的な緯度と経度の値が得られます。
水平方向の調査位置は、理想的な楕円体面に合うように調整されますが、地形地図に示される標高は平均海面レベルのジオイドに対して相対的に表現されます。
ジオイド
楕円体
P.10(上、左)
測地基準面
ステップ
## View(ビュー)ウィンドウのOptions(オプション)メニューからPosition Report / Projection(位置レポート / 投影)を選択します。
## Coordinate System(座標系)をUniversal Transverse Mercator(汎用横断メルカトール)に再設定します。
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[Datum...(基準面...)]をクリックします。
## 使用可能な測地基準面のリストをチェックし、[Zone...(ゾーン...)]をクリックし、Datum Selection(基準面選択)ウィンドウで[Cancel(取り消し)]をクリックします。
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[Cancel(取り消し)]をクリックします。
Datum Selection(基準面選択)ウインドウ下部では、選択された基準面に対応する区域がわかります。
P.12(右)
さまざまな基準楕円体が、長年にわたり地図作成者によって使用されてきました。新しい技術でより高度に惑星を測定できるようになってきたのに伴い、地球全体の形状を最も良く近似する楕円体の寸法の推定値も変化してきました。また、ジオイドには不規則な起伏があるため、全体を最も良く近似する楕円体が地表上のすべての部分を均等に近似できるわけではありません。このため、さまざまな国で調査や地図作成用の基準楕円体がこの他にもたくさん定義されてきました。各地域で定義されたそれぞれの楕円体は、その特定の区域のジオイドにできる限り近くなるように選択されてきました。結果として得られる各楕円体の間では、サイズ、中心の位置、極方向の軸の向きが異なります。
測地基準面は、特定の国や区域内の水平位置を地図化する際の基準として使用される楕円体面です。各基準面は、基準楕円体のサイズ、位置、向きを指定します。TNT製品には、非常に多くの測地基準面の仕様が含まれています。基準面を選択すると、対応付する楕円体の名前が、Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウのEllipsoid(楕円体)フィールドに自動的に表示されます。
ジオリファレンス処理されたデータの位置を示すのに使用される平面座標は常に、特定の(通常はデータが抽出された地図の)測地基準面を基準にしています。データをインポートしたりジオリファレンス処理する際には、基準面の仕様を必ずチェックしてください。(場合によってはデータに添付された資料やメタデータを調べる必要もあります)。不適切な基準面を地図座標の基準にすると、数十〜数百メートルの位置誤差が発生する恐れがあります。
測地基準面は特定の楕円体を指定しますので、あらかじめ定義された測地基準面を選択すると特定のEllipsoid(楕円体)ボタンが淡色表示になり使用できなくなります。(ボタンがアクティブになるのは基準面リストからUnspecified(無指定)が選択されている場合だけです。)
P.11(上、左)
North American Datums(北米基準面)
北米でよく使用される測地基準面は2つあります。North American Datums of 1927(1927年北米基準面)(NAD27)は、楕円体(Clarke 1866)が地表の初期基準点に対応付けられた地域基準面の例です。NAD27は、多くの独立した測地調査網を調整してカンザスのMeades Ranchを原点とする1つの統合化されたネットワークを形成できるように開発されたものです。楕円体の位置と向きはMeades Ranchの調査基地に対して相対的に指定されるため、楕円体の中心は地球の中心と一致しません。
米国地質調査局の地形学地図はNAD27を使用して作成されてきましたが、時代と共に、この基準面に対応付けられた調査網の精度は現代の多くのニーズには十分でないことが明らかになってきました。測量上の誤差、測量用の境界標の損壊、地殻の水平方向の移動などにより現在までに生じた管理点の位置の水平方向の誤差は1/15,000です。衛星を使用した位置決めシステムが開発されたことにより、現在では、地球の質量中心に中心が一致する全地球規模の最適楕円体を使用することも必要になっています。
このような問題があるため、米国地質調査局は新しい基準面としてNorth American Datum of 1983(1983年北米基準面)(NAD83)を導入しました。使用された基準楕円体は、International Union of Geodesy and Geophysics Geographic Reference System 1980(1980年国際測地学・地球物理学連合基準系:GRS1980)であり、地球の中心を基準としているため、地表上に単一の初期基準点は存在しません。測地管理点の新しい緯度と経度の座標は、最小二乗調整により計算されました。この計算には、従来の測量と衛星からの観測によって得られた1,750,000ヵ所を超える位置が含まれ、北米、グリーンランド、カリブ諸島全体にわたる画像が使用されています。
P.11(右)
北米の測地学用の1組の緯度経度座標を持つ位置は、NAD27からNAD83に変更すると最大で300メートルずれる可能性があります。ずれの程度は場所によって異なります。下図は、カリフォルニア州のHayward区画の北緯37°43'31.84"、西経122°05'01.03"の位置をこれらの2つの基準面に基づいてプロットした位置を示します。
米国地質調査局は、定期的な改訂作業の中で、基本地形学地図(縮尺1:24,000、7.5分の区画)をNAD83に変換する処理をすでに開始しています。
米国国防省によって開発されたWorld Geodetic System 1984(1984年世界測地系:WGS84)基準面は、NAD83とほとんど同じです。この2つの系の位置は約0.1ミリメートル以内の精度で一致します。WGS84は、Global Positioning System(全地球位置計測システム)衛星から位置を求める際の基準として使用されています。
P.12(上、左)
円筒投影
円錐投影
方位角投影
P.12(右)
地図投影は、1つの処理、または処理の出力と考えることができます。たとえば地図投影は、地球の表面の全体または一部を系統的に表現したものと考えることもできますが、この表現は複雑な変換処理の結果です。地図投影処理の入力は、基準楕円体の面上の水平位置の組です。出力は、縮尺を小さくした基準面上の対応する位置の組になります。この意味から言えば、地図投影は、希望する座標変換を生成するための複雑な数学的モデル式ですが、地図投影に関連する基本概念を理解する上では数学的アプローチは必要ありません。
地球楕円体から地図への座標変換には、それ以上の歪み(伸びやせん断など)を発生させずに平面にすることができる単純な幾何学面へ投影する処理が含まれます。このような面のことを展開可能な面と呼びます。最も一般的な地図投影で基本となる展開可能な面は、円筒、円錐、または平面そのものの3種類です。
単純円筒投影は通常、赤道などの大きな円に沿って円周方向に全体が地球表面に接するような円筒を使用して作成されます。単純円錐投影では、緯線などの小さい円に沿って地球表面に接するような円錐を使用します。地球表面に接する平面に直接位置を投影すると、方位角投影が得られます。
通常の円筒投影と円錐投影では、円筒または円錐の軸の向きは地球の軸と平行になります。これらの軸が平行でない場合、結果は横断投影(垂直軸投影)または斜め投影になります。この他に、円筒、円錐、平面が地球表面に接するのではなく、地球を切るようなものもあります。
P.13(上、左)
地図の歪み
湾曲した地球表面を地図平面に投影すると必ず、地表の地物に何らかの歪みが生じます。したがって、すべての地図には何らかのタイプの歪みが含まれています。地図投影を選択する際に、地図作成者は、どの特徴を犠牲にして、どの特徴(またはそれらの組み合わせ)を正確に表現すべきかを決定しなければなりません。この選択に関係してくる地図特性としては、縮尺、面積、形状、方向があります。
すべての地図では、地球表面が何らかの縮尺で表現されています。地図上の地物から正確に距離を測定するには、地図全体で縮尺が同じでなければなりませんが、これを実現できる地図投影は存在しません。ほとんどの投影では縮尺は1つまたは複数の基準線に沿った方向で一定に保たれますので、これらの線の位置を慎重に決めることにより、地図の中での縮尺の変化を最小限に抑えることができます。特殊な等距離地図投影では、1つまたは2つの基準点からすべての方向への縮尺が一定に保たれます。
さまざまな空間解析において、異なる地物の面積を比較することが重要になります。このような比較を行う際には、地表上の面積の等しい地物が、存在する場所にかかわらず、地図上でも同じ面積で表示されなければなりません。このような特徴を持つ地図投影が等面積投影です。
地表上の小さい地物の形状が歪みなく表示される場合、その地図投影は等写的であると言います。この特性は、各点の周囲の局所的な角度が正しく表現され全方向への局所的縮尺が一定に保たれることにより得られます。等写性は局所的な特性であり、小さい地物は正しく表現されますが、大きい形状には必ず歪みが生じます。同じ地図投影で、等写性と等面積性を両立させることは不可能です。
いかなる地図投影でも、すべての大きい円の方向を直線として表示することはできません。方位角投影は、投影中心を通るすべての大きい円が直線として表示されます。
P.13(右)
地図縮尺は、地図上の距離とこれに対応する地表上の距離との間の数学的な関係です。
等面積投影
形状は歪みますが、地図上のすべての地物は正しい相対面積で表示されます。
等写投影
各点の周囲の局所的な縮尺と角度が一定に保たれるため、小さい形状の均整は正しく保たれます。地物の相対面積は地図上の場所によって異なります。
P.14(上、左)
地図投影を選択する
ステップ
## View(ビュー)ウィンドウのOptions(オプション)メニューからPosition Report / Projection(位置レポート / 投影)を選択します。
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[System...(システム...)]をクリックします。
## Coordinate System(座標系)ウィンドウからUser Defined(ユーザ定義)を選択し、[OK]をクリックします。
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[Projection...(投影...)をクリックします。
## Map Projection Selection(地図投影を選択)ウィンドウで使用可能な投影のリストをチェックし、[OK]をクリックします。
## Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウで[Cancel(取り消し)]をクリックします。
P.14(右)
インポートまたはジオリファレンス処理するデータに対して、あらかじめ定義された標準的な座標系オプションで提供されている以外の地図投影を使用する必要がある場合は、系オプションとしてUser-defined(ユーザ定義)を選択すると、Coordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウのProjection(投影)オプション・ボタンが有効になります。このボタンを使用するとMap Projection Selection(地図投影を選択)ウインドウが開き、通常使用される多くの投影がリストされます。以下のページではいくつかの代表的な例について緯度-経度グリッドと北米の地図を重ねた図を使用しながら説明します。
必要ならば、ジオリファレンス処理されたデータを、プロジェクト領域の位置、サイズ、形状、およびデータの予定用途などにより適した新しい地図投影と座標系に変換することができます。特定の投影をプロジェクト領域の中心に位置決めするには、適切な投影パラメータを選択します。(パラメータは投影のタイプによって異なります。円筒、円錐、方位角投影用の主なパラメータについては以下の例で説明します。) 歪みのパターンにはさまざまなものがあるため、投影によって、東西方向に細長い領域に適するものと、南北方向に細長い領域に適するものがあります。航海図や地形学地図などのように、方向を決定したりプロットするために使用される大規模な地図では、等写的な地図投影を使用する必要があります。比較的小規模なテーマ別地図や分布地図には等面積投影の方が適します。
P.14(下)
座標系としてUser-Defined(ユーザ定義)を選択すると、Projection Parameters(投影パラメータ)パネルが自動的に開きます。パラメータは、選択する投影によって異なります。通常は、パラメータによって投影の地理的な位置が決まります。どの投影でも、原点のFalse Northing(不正偏北距離)とFalse Easting(不正偏東距離)の値を指定できます。特定の投影にデータをインポートする場合は、関連する投影パラメータに付随するメタデータを必ず調べてください。
P.15(上、左)
メルカトール投影
最も有名な地図投影の一つであるメルカトール投影は、特に航行に役立つように考案されたものです。メルカトール投影では方位角(コンパスの方向)が一定である航路が直線として表示されるため、船の航路を容易にプロットすることができます。
メルカトールは標準的な(円筒の軸が北極と南極を通る)円筒投影です。経線は等間隔な縦の線として表示され、直線的な緯線と直角に交わります。等写的な投影を生成するため、赤道から離れるほど緯線の間隔は広くなります。(True Scale Latitude(正しい緯度縮尺)パラメータがデフォルト設定の場合に指定される)正接メルカトール投影の場合、赤道に沿った部分で正しい縮尺が得られます。True Scale Latitude(正しい緯度縮尺)の設定を変えると、赤道から等距離にある(正しい縮尺の)2つの基準緯線を持つ、交差する円筒投影が得られます。
極に近付くほど緯線の間隔が広くなることにより、高緯度地域では面積の歪みが大きくなります。実際に、両極のy座標は無限大になるため、メルカトール投影を使用した地図で極方向に緯度75度まで伸びたものはほとんどありません。メルカトール投影は現在でも航海図として一般に使用されています。赤道付近では縮尺の歪みが小さいため、赤道地域では等写投影としても適しています。
西経100°を中心とした北米のメルカトール投影。緯度経度のグリッドの間隔は10°です。
投影パラメータ
・Central Meridian(中央子午線)
・True Scale Latitude(正しい緯度縮尺)
P.16(上、左)
Transverse Mercator(横断メルカトール)投影
横断メルカトール投影は、標準メルカトール投影に対して円筒を90°回転させた等写円筒投影です。円筒は中央の経線に円周全体で接します。中央子午線と赤道は直線になりますが、他のすべての子午線と緯線は複雑な曲線になります。
縮尺は、どの子午線に沿っても一定になります。緯線に沿った縮尺の変化は中央子午線付近ではそれほど大きくありませんが、中央子午線から離れるに従い急激に大きくなるため、横断メルカトール投影が有効なのは、中央子午線に沿った狭い帯状の地域だけです。横断メルカトール投影はUniversal Transverse Mercator Coordinate System(汎用横断メルカトール座標系)の基本となっており、主に大規模な(1:24,000〜1:250,000の)区画の地図に使用されます。中央子午線は正しい縮尺で地図化することもできますし(Central Scale(中央部の縮尺)パラメータを1.0にする)、多少小さい一定の縮尺で地図化することもできます(たとえばUTM系で値0.9996を使用する)。後者の場合は、中央子午線の両側の1対の子午線が正しい縮尺に保たれ、地図全体の平均縮尺は正しい縮尺に近くなります。
米国では、横断メルカトール投影は、南北方向に長いState Plane Coordinate System(州平面座標系)(または個々の州ゾーン)でも使用されます。欧州では、Gauss Conforma(ガウス等写)投影またはGauss-Kruger投影と呼ばれる場合もあります。
西経100°を中央子午線とした北米の横断メルカトール投影。
投影パラメータ:
・Central Scale(中央部の縮尺)
・Central Meridian(中央子午線)
・Origin Latitude(原点の緯度)
P.17(上、左)
Lambert Conformal Conic(Lambert等写円錐)投影
Lambert等写円錐投影は通常、2つの基準緯線に沿って地球と交差する展開可能な面を使用して生成されます。投影を設定する際に、各基準緯線の緯度と、偏北距離座標用の原点として使用する緯度を指定する必要があります。縮尺は、2本の基準緯線に沿って正しく、両者の間では小さく、両者の外側では大きくなります。基準緯線の間と付近では面積の歪みは比較的小さくなります。したがって、この投影は特に、東西方向に細長い中緯度地域に有効です。
Lambert等写円錐投影では緯線は同心円になり、子午線はこれらの円の半径となり等間隔で直線的に表示されます。(等写投影であることから予想される通り)子午線は緯線と直角に交差します。緯線の間隔は、基準緯線により定義される帯状の部分から南北に離れるにしたがい広くなります。
米国では、Lambert等写円錐投影(Conical Orthomorphic(円錐正角)投影とも呼ばれます)は、南北より東西方向に長い州ゾーンのState Plane Coordinate System(州平面座標系)に使用されます。Lambert等写円錐投影は、部分世界航空地図やいくつかの国の地形学地図にも使用されています。
基準緯線を北緯20°と60°、中央子午線を西経100°にした北米のLambert等写円錐投影。
投影パラメータ:
・South Standard Parallel(南基準緯線)
・North Standard Parallel(北基準緯線)
・Central Meridian(中央子午線)
・Origin Latitude(原点の緯度)
P.18
Albers Conic Equal-Area(Albers円錐等面積)投影
Albers円錐等面積投影は通常、アラスカとハワイを除く米国48州の下部など、中緯度地域の面積の大きい地図に使用されます。このような標準的な用法では2つの基準緯線が存在します。他の円錐投影と同様、緯線は同心の円弧であり、等間隔の子午線と直角に交差します。緯線の間隔はLambert等写円錐投影とは逆に、基準緯線の間で広く、外側で狭くなります。
各緯線における縮尺は一定であり、縮尺は、基準緯線に沿った方向では正しく、基準緯線の間では小さく、外側では大きくなります。面積が等しくなるようにするため、子午線に沿った縮尺の変化は逆のパターンになり、基準緯線の外側で東西方向の縮尺が増加する分だけ、南北方向の縮尺が減少します。
Albers円錐等面積投影は、U.S. Geological Survey(米国地質調査局)が米国の多くの小規模地図に使用してきました。北緯29.5°と45.5°の緯線が基準緯線に使用されています。ほとんどの標準的な円錐投影では中緯度における歪みが小さいため、地図化される地域の範囲が高緯度地域や低緯度地域に及ばない限り、これらの間に大きな違いはありません。
基準緯線を北緯20°と60°、中央子午線を西経100°にした北米のAlbers円錐等面積投影。
投影パラメータ:
・South Standard Parallel(南基準緯線)
・North Standard Parallel(北基準緯線)
・Central Meridian(中央子午線)
・Origin Latitude(原点の緯度)
P.19
Polyconic(多円錐)投影
多円錐投影は、米国政府による初期の調査で考案され、1950年まで、U.S. Geological Survey(米国地質調査局)のすべての大規模区画地図に使用されていました(現在の改訂版のほとんどの地図では代わりにUniversal Transverse Mercator(汎用横断メルカトール)が使用されています)。多円錐投影は等写的でも等面積でもありませんが、歪みは中央子午線付近の小さい領域上できわめて少ししか発生しません。
多円錐投影の場合の緯線は、円弧ではありますが同心ではありません。各緯線は、その緯度で地球に接する固有な円錐の線です。したがって、この名前が示す通り実際にこの投影は、展開可能な1つの円錐面ではなく多くの円錐によって生成されています。原点緯度として選択された場合、赤道は直線になります。中央子午線も直線になりますが、他のすべての子午線は緯線に対して正確には直角でない複雑な曲線になります。
縮尺は、各緯線と中央子午線に沿って正しくなります。大規模な地図区画内に中央子午線を配置した場合、地図内の縮尺の歪みはほとんど無視できます。多円錐区画地図は正確な四角形ではないため、南北方向でも東西方向でも、隙間や重なりが生じないように並べることはできません。
中央子午線を西経100°に、赤道を原点緯度にした、北米の多円錐投影。
投影パラメータ:
・Central Meridian(中央子午線)
・Origin Latitude(原点の緯度)
P.20
Lambert Azimuthal Equal-Area(Lambert方位角等面積)投影
Lambert方位角等面積投影は、地表の座標を地表に接する平面に直接変換します。接点は投影の中心となり、Center Longitude(中心の経度)、Center Latitude(中心の緯度)パラメータにより指定されます。通常、投影の中心は地図化する領域の中心と一致しなければなりません。縮尺が正しいのは中心点だけですが、地図上の他の点における正しい縮尺値からのずれは、他の方位角投影よりは小さくなっています。
半径方向の縮尺は中心から離れるにしたがって小さくなります。面積が等しくなるよう、半径方向に直角な方向の縮尺は、中心から離れるにしたがって大きくなります。歪みは中心点に関して対称であるため、この投影は、南北と東西の範囲がほぼ等しい領域に有効です。
子午線と緯線のパターンは、中央の点の選択状況によって異なります。極を投影の中心にした場合、子午線は直線的な半径となり、緯線は同心円となります。下図の例のような斜め投影の場合は、中央子午線だけが直線になり、他の子午線と緯線は複雑な曲線になります。Lambert方位角等面積投影は、極地域、海洋部、大陸部の小規模な地図に多く使用されてきています。
西経100°、北緯50°を中心とした北米のLambert方位角等面積投影。
投影パラメータ:
・Center Longitude(中心の経度)
・Center Latitude(中心の緯度)
P.21
Stereographic(平射)投影
平射投影は等写的な方位角投影です。球形地球モデルを使用できるように広い領域に使用する場合は、ほとんどの地図投影とは異なる本当の鳥瞰図投影になります。地表上の位置は、球面上の投影の中心とは正反対の1つの投影点を使用して、接する平面に投影されます。楕円体地球モデルを使用するように比較的狭い領域の地図に使用される場合、投影は鳥瞰図ではなくなり、等写正を保つため真に方位角的にはなりません。
平射投影は極地域の地図化に最もよく使用され、その場合は極が中心点として選択されます。(このPolar Sterographic(極正射)形式はMap Projection Selection(地図投影を選択)ウインドウの中に個別の選択肢として用意されています)。この形式の地図では、緯線を示す同心円の直線的な半径として子午線が表示されます。下図のような斜めの平射投影では、中央子午線だけが直線になります。他のすべての子午線と緯線は、直角に交差する円弧になります。縮尺は中心点を離れるにしたがって大きくなり、通常は中心点で縮尺が正しくなります(Central Scale(中央部の縮尺)パラメータが1.0の場合)。Central Scale(中央部の縮尺)の値を小さくすると、接する平面でなく交差する平面になります。この場合の縮尺は、投影の中心に中心を置く楕円に沿って正しくなり、地図全体での縮尺の平均値は正しい縮尺に近くなります。
西経100°、北緯50°を中心とした北米の正射投影。
投影パラメータ:
・Center Longitude(中心の経度)
・Center Latitude(中心の緯度)
・Central Scale(中央部の縮尺)
P.22(上、左)
グループ表示で地図投影を使用する
## 2D Group Display(二次元グループ表示)または3D Group Display(三次元グループ表示)でGroup(グループ)メニューからProjection / Clipping(投影 / 切り取り)を選択してGroup Settings(グループ設定)ウィンドウを開きます。Layout(レイアウト)モードでGroup(グループ)メニューからSettings(設定)を選択します。
## [First Raster or First Layer(第1ラスタまたは第1レイヤー)]および[First Layer(第1レイヤー)]オプションでは常に、表示されているレイヤーのオブジェクト座標を使用して、グループの方向と投影が制御されます。この場合の"First"(第1)とは、レイヤー・リストの中の最も下のレイヤーを意味します。
P.22(右)
特定の地図投影で地理空間オブジェクトを作成したり、特定の地図投影に地理空間オブジェクトを再投影した場合、オブジェクトの座標系は地図の座標系と一致しますが、ジオリファレンス処理されたオブジェクトの多くは、このようにはなりません。Group Settings(グループ設定)ウィンドウのOrientation / Projection Options(向き/ 投影オプション)コントロールは、表示グループを、オブジェクト座標または特定の地図座標系のどちらに対して相対的な方向にするかを決定します。
Auto-Match(自動一致)オプションは、オブジェクト座標を使用するかいなか、また複数のレイヤーがある場合はどのオブジェクトをグループ投影の基本にするかを決定します。グループを地図投影の方向にするには、[None(無指定)]を選択します(グループ内にラスタ・レイヤーがない場合は[First Raster or None(第1ラスタまたは無指定)])。こうするとProjection(投影)ボタンがアクティブになり、前述のCoordinate System / Projection Parameters(座標系 / 投影パラメータ)ウィンドウが開きます。
表示グループ内のベクタ、CAD、TINオブジェクトは、要素座標に固有な精度で、選択された地図座標に正確に投影されます。ラスタ・オブジェクトの方向の修正は、View(ビュー)ウィンドウのOption(オプション)メニューの中のPositional Accuracy(位置精度)オプションによって決まります。Exact(正確)オプションを使用すると、投影に合わせて正確な再サンプリングが行われますが、スピードが遅くなる可能性があります。これよりスピードの速いAffine Approximate(アフィン近似)オプションを使用すると、出力される投影にほぼ一致するように方向と縮尺が均一に変更されます。Auto-Select(自動選択)オプションを使用すると、現在の倍率に適した方法が自動的に選択されます。
P.22(下)
1つのプロジェクト用にさまざまな情報源から空間データを収集した場合はおそらく、データの座標系や投影がまちまちになってしまいます。Display(表示)処理では、地図投影や座標系が異なる複数のレイヤーを妥当な位置合わせ精度で重ねて表示することができますが、再表示時間が長くなる可能性があります。最大限の効率を実現するには、一緒に何度も使用されるデータを、共通の地図投影と座標系に再投影する必要があります。ラスタ画像の場合は、TNTmipsメインメニューからProcess / Raster / Resample / Automatic(処理 / ラスタ / 再サンプリング / 自動)を選択します。ベクタ・オブジェクトの場合は、Process / Vector / Warp(処理 / ベクタ / 移す)を選択します。
P.23
その他の資料
参考文献
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ジオイド、楕円体、測地基準面など測地学の概念を紹介した価値ある文献です。
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測地学、地図投影、基準系と座標系などに関する各章の説明が優れています。
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地図投影や関連概念について詳細な説明と歴史が示されています。数学的詳細も示されています。
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インターネット上の資料
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Peter H. Dana(The Geographer's Craft Project、Department of Geography、The University of Texas at Austin:オースティンのテキサス大学地理学部の地理学者団体プロジェクト)によるこれらのウェブページでは、各テーマに関する図解付きの説明が載っています。
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1984年にU.S. Defense Mapping Agency(米国防衛地図作成局、現在のNational Imagery and Mapping Agency(全国画像地図作成局)(NIMA))から出版されたTR80-003報告書のhtmlバージョンです。この資料では、測地学に関する基本原理を説明しており、測地基準面や衛星測地学についての説明も含まれています。元の報告書は絶版になっています。
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