Subject: [ts-mag:00133] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 338号】
    Date: Thu, 02 Oct 2008 17:23:51 +0900
    From: WAZA Toshihiko


OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users     2008/09/26
Keywords: OpenGIS,TNTmips,ALOS/PALSAR,RADAR POLARIMETRY,POLSARPRO

オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第338号「 POLSARPRO の 講 習 会 に 参 加 し て  」
#################################################################
                       株式会社 オープンGIS


9月24日から26日の3日間、東北大学東北アジア研究センターの主催で、
以下の講習会が東京駅近くの東北大学東京分室において開催されました。

「講習会:レーダ・リモートセンシング画像の解析と応用
−SAR偏波計画像(ALOS/PALSAR)の応用解析を中心に−」
 
http://cobalt.cneas.tohoku.ac.jp/users/sato/SAR-Tutorial2008.pdf

筆者も参加しました。非常に有益な内容でしたので、そのときの様子を
簡単ですが、ご紹介させていただきたいと思います。

標題の「POLSARPRO(ポル・サー・プロ)」とは、ソフトウエアの名前で
(Polarimetric Sar Processing の略称)、レーダの偏波を利用してリモ
ートセンシングを行なう、欧州宇宙機関(ESA)のプロジェクトが開発して
いるフリー・ソフトウエアです。
 
http://earth.esa.int/polsarpro/default.html

今回の講習会は、当初20人程度を予想していたそうですが、いざふたを
開けてみると100人近くの方が申し込みをされたそうです。

講習会の1日目は、東北大学の佐藤教授による講義で、2,3日目は客
員教授の飯坂先生によるPOLSARPRO を使った実習がありました。


・・・


講義は、電波による地球観測のイントロダクションから始まって、波動
方程式、電場と磁界、SARの原理といった内容で、内容的には高度で
すが、非常に整理された形で行われました。

全体を通して以下のことを知りました。

●通常の光学センサーは、その波長の短さから地表面の分子的な性質を
見ているのに対して、レーダはもっとマクロな導電体としての性質を見
ている。

●レーダは波長が長いので樹幹に入り込みます。木の高さを求めたり、
土壌の水分を求めたりすることができます。

●偏波の位相情報を使うと、山の傾斜や家屋の屋根の向き、鉄道の曲が
り具合などが分かるそうです。

●散乱の程度を表わす係数として、SHV などの記号を用いますが、最初
のH は受信時の偏波の状態、2番目のV は送信時の偏波の状態を表すと
のことでした。Hは、電磁波である光の電場の振動方向が地面に水平な
場合で、Vは地面に垂直な波を表しています。

従って、SHV とは、地面に垂直な偏波を持つレーダを発信して、地面や
樹木などで散乱されてHで戻ってくる波を表しています。他に、SHH,
SVH, SVV の、合わせて4種類の係数が存在します。

●専門分野によって、電場、電界、電力などと呼び方が違うそうです。
本講義では、電場と呼んでいました。

●ランドサット衛星などの光学センサーのマルチスペクトル画像では、
1つの画素に対して6バンド(7バンド?)のベクトルデータが対応し、そ
れを解析・分類の対象としていますが、偏波レーダ画像では1つの画素
に対して、SHH, SHV, SVH, SVVの4つののパラメター(散乱係数)が
2x2で並んだ行列(散乱行列)が対応するとのことです。実際は、SVH
とSHVは同じということで、独立な情報は3個ということです。

●散乱の形式としては、樹木のてっぺんなどでレーダが1回散乱する"表
面散乱"、樹木の内部に入って枝や葉で散乱して出てくる"体積散乱、地
面→樹幹で2反射して戻る"2回反射"などがあります。

●光学センサー(ランドサットなど)のフォールスカラー表示のように、
レーダ偏波でも散乱係数をRGBに割り当てて表示することがあります。
(偏波合成画像)

R...2回反射
G...体積散乱
B...表面散乱

あるいは、

R...SHH
G...SHV
B...SVV


などなど、いろいろためになる話を伺いました。


・・・


さて、JAXAのホームページにALOS/PALSAR の偏波データ(シミュレー
ション・サンプルデータ)がありますので、偏波合成画像の表示を試して
みました。
 
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/doc/jsample.htm

最初の方にある PALSAR のデータを使います。
 

ホームページで「4偏波」と書かれているのは、上で述べたSHH、SHV、
SVH、SVV のデータがあるということです。

レベルの説明には、東北大学佐藤研助教の渡辺さんが配布された資料が
役に立ちました。

****************************************************************
●レベル1.0...シーン単位に切り出した未補正データ
		(未圧縮でほとんど画像になっていない)

●レベル1.1...緯度経度情報を含むスラントレンジ画像。位相・振幅デ
ータ情報を含んむ。

●レベル1.5...グランドレンジ画像。振幅データ(SARの倒れ込みは未補
正)
****************************************************************

ここではレベル1.5 をダウンロードしました。データを解凍すると、
L1.5というフォルダーが出来ます。
 

中には、確かに HHとか、VVとか書かれた偏波データがあります。
 


▼さて、TNTmips を起動して、インポート処理を起動します。

▼[ラスタ]ボタンを押して、"PALSAR" を選びます。
 

▼頭に"IMG-"とつくファイルがデータです。これらを選びます。
 

▼パラメータはそのままで、[インポート(入力)...]ボタンを押します。
 

▼出力オブジェクトを与えてやると、インポートが始まります。


TNTmips には偏波や位相を解析する機能はありませんが、処理された振
幅データのRGBデータ表示は可能です。


▼<表示マネージャ>を出して、[ラスタの追加]ボタンから[赤-緑-青]
を選び、教わった説明のごとく、

HH 	---> 赤
HV	---> 緑
VV	---> 青

と割り当てました。
 

そのままではちょっと暗いです。デフォルトのコントラストのリニアを、
正規化に変更しました。
 

意味はともかく、最初のJAXAのホームページにあるのと同じような
表示が出来ました。


・・・


2,3日目の飯坂教授の実習は、先生の健康状態もあって、なかなかス
ムーズに進みませんでしたが、この分野の一人者から話が聞けただけで
も有難かったのではないでしょうか。

今回の講習会では、レーダの手法や偏波処理について、非常に内容の濃
い講義を受けました。マルチスペクトル画像などとの違いも分かり、リ
モートセンシング技術への理解が深まった気がします。


幸いなことに、同じ講習会が、祝日をはさんで来る10月10,14,15日の3
日間、仙台で開催されます。仙台での講習会の申し込みは以下のページ
からできます。
 
http://cobalt.cneas.tohoku.ac.jp/users/sato/index-j.html


参加費は3日間で10,000円で、メールで申し込みをします。ただし、申
し込みの期限が10月3日になっていますので、希望される方は早目にお申
し込みください。

内容はかなり高度ですが、森林や農業のリモートセンシングに携わって
おられる方々には、目から鱗(うろこ)の講習会になると存じます。



以下は講習会でご紹介のあった参考図書です。

◆山口芳雄「レーダポーラリメトリの基礎と応用」(社)電子情報通信学
会(2007) (税別 3,400円)







□■Tips□■
===============================================================

講習会2.3日目には自分のノートPCを持ち込んで、POLSARPRO の実
習がありました。

POLSARPRO は、以下のサイトから入手できます。今のところ、Windows
版とLinux 版(Unix 版)があります。(Mac版は開発中)
 
http://earth.esa.int/polsarpro/install.html

"Download and Install POLSARPRO Package"をクリックすると、ユーザ
情報の登録の画面に移り、入力後 "submit"ボタンを押すと、ダウンロー
ドの画面に移動します。

Windows 版のインストールは簡単でした。ダウンロードしたファイルを
ダブルクリックすると、インストールが開始しました。最後にActive
Tcl(GUIの開発キット)のインストールで終わりです。

ちなみに筆者は、Mac Book(Core2Duo, OS はLeopard)を使いました。
Boot Camp を使って Windows XP Home を導入しました。

Linux 版の場合は、プログラムのコンパイルもしないといけません。

Windows Vista にもインストールしてみましたが、Active Tcl のデモメ
ニューがスタートボタンに登録されない程度で、本体の操作は特に問題
ないように感じました。しかし、ソフトを使いこなしている分けではな
いので、Vistaで大丈夫かどうか、何とも言えません。初めての場合は、
Windows XP が無難かもしれません。

起動して、チュートリアルなどの PDFファルを閲覧するために、[?] の
アイコンを押して、Arcbat Reader ファイルを指定します。プログラム
のある場所が自動検索されて、設定が完了します。

===============================================================




+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +

年間テクニカルサポートご加入の皆様には、日頃より大変お世話になっ
ております。

このたび、v73版『TNTlite日本語解説セット』のテキスト(PDFファイ
ル)とサンプルデータをダウンロードできるようにいたしましたので、教
育、お仕事などにご活用ください。

◆テキスト(PDFファイル) (56.2MB)

◆サンプルデータ(18.3MB)


+ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +




■■■■■■■ 現 在 の T N T m i p s の 価 格 ■■■■■■

◆ v74用価格表
 
http://www.opengis.co.jp/img/info/kakaku_list.pdf

・TNTmips シングルライセンス 	828,8700円(送料・税込)
・TNTedit シングルライセンス 	498,750円(送料・税込)
・TNTview シングルライセンス  	 75,600円(送料・税込)

・TNTmips 年間バージョンアップ(年1回分) 136,500円(税込)
・OpenGIS 年間テクニカルサポート         94,500円(税込)


◆ HASP-USB キーへの交換		16,800円(税込)

http://www.opengis.co.jp/htm/catalog/tntinfo/tntinfo_fixed_licens
e.htm

※交換に際して、バージョンが最近のものである必要があります。


◆ 特別アカデミックライセンス(SAL)のご紹介
 
http://www.opengis.co.jp/img/info/SAL_price.pdf


<買取>と<レンタル>の2種類があります。


◆『TNTlite日本語解説セット』v73版を販売開始!
	(プログラ
ム及びサンプルデータCD付き)
          7,980円(税込み/送料別)

 ★ Windows VISTA を使って全面書き直し

 ★ 新たに追加した項目

	・Google Earth へのエクスポート
	・ベクタデータの作成と編集、
	・画像分類(教師なし)
	・ラスタの集計
	・レイアウトの作成

 
http://www.opengis.co.jp/htm/info/book4v73.pdf

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■



困ったときの問題解決フローチャート

▼STEP1「ウェブサイトで検索してみる」
▼STEP2「ウェブサイトにある情報を眺めてみる」
▼STEP3「ドキュメントを読んでみる」
▼STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
▼STEP5「テクニカルサポート」



STEP1 「ウェブ検索テクニック」
 ▽オープンGIS検索システム
 http://www.opengis.co.jp/htm/namazu.cgi
 ▽メールマガジン検索システム
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/namazu.cgi
 ▽マイクロイメージ検索サイト
 http://www.microimages.com/search/
 ▽Google 検索
 http://www.google.co.jp/
 とくに、and検索(キーワードの間に空白)、not検索(キーワードの前に
 - や not を入れる)、とは検索(キーワードの後ろに "とは" をつける)
 を使いこなすと、便利です!


STEP2 「ウェブサイトの有用な情報源」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「基本操作」
 http://www.opengis.co.jp/htm/basic/title.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メニュー解説(Flash)」
 http://www.opengis.co.jp/flash/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「SML スクリプトの解説」
 http://www.opengis.co.jp/sml/sml_index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「作業で必要となる情報を集約したポスター類」
 http://www.opengis.co.jp/htm/gallery/index.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「メルマガバックナンバー」
 http://www.opengis.co.jp/mail_mag/index.htm [日本語]


STEP3 「ドキュメントを読んでみる」
 ▽オープンGIS ウェブサイト「その他ドキュメント一覧ページ」
 http://www.opengis.co.jp/htm/documents.htm [日本語]
 ▽オープンGIS ウェブサイト「チュートリアルテキスト&リモセンテキスト」
 http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm [日本語]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「ワンポイントテクニック集」
 http://www.microimages.com/didyouknow/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「TNT入門(Getting Started)」
 http://www.opengis.co.jp/htm/getstart/getstart.htm [日本語]
 http://www.microimages.com/getstart/ [英文]
 ▽マイクロイメージウェブサイト「リファレンスマニュアル」
 http://www.microimages.com/refman/


STEP4「メーリングリストへ聞いてみる」
 メーリングリストに参加されたい方は、
 info@opengis.co.jp までご連絡ください。
 弊社からの対応は バグ対応と、新製品告知のみになります。


STEP5「テクニカルサポート」
 テクニカルサポート・ユーザー専用 メールアドレス





############# このメールマガジンの配信について ################

このメールマガジンは、
年間テクニカル・サポートに加入されている、
ユーザーさまのみを対象としております。

基本的には、登録アカウント1つに対して
1ユーザーを配信対象としておりますが、
例えば、研究室の予算で加入された場合などは、
ご購入いただいた指導教官と、実際に TNTmips で作業を行う学生1名の、
計2ユーザーを対象として配信させていただきます。

1アカウントに対して合計3名以上の配信は行いません。
学生さん2名が同じくらい使用する場合は、
申し訳ありませんが、じゃんけん等で1人に決めてください。


また、テクニカル・サポートの期限を3ヶ月以上過ぎてしまった場合は、
メールマガジンの配信を停止させていただきます。

メールマガジンが配信されなくなった時は、
サポート期限が3ヶ月過ぎたとお考えください。


転勤、ドメイン変更などでメールアドレスが変わった場合は、
お手数ですが、弊社までご連絡ください。




テクニカル・サポート活用案内
>サービスその1:緊急なバグ情報はすぐにメール配信します。
>サービスその2:TNTmips に関するどんな質問にも TEL/e-mail/FAX で
対応。
>サービスその3:対応は最優先で行います。
>サービスその4:専用FAX質問用紙をお送りします。
>サービスその5:週に1回メールマガジンを配信します。
>サービスその6:展示ブースへご来場の方には特製オリジナルグッズを
進呈。
>サービスその7:サポート対応で FTP サイトを 5 GB まで利用できま
す。
>サービスその8:メルマガ・バックナンバー・サイトも利用できます。
>サービスその9:FTP サイトを 5 GB に拡張しました...
>サービスその10:現在計画中です...


テクニカル・サポート・ユーザー専用 メールアドレス


テクニカル・サポート・ユーザー専用 FTPアカウント(最大容量5GB)


●テクニカルサポート用にスカイプのIDを用意しました。
テスト利用のためオフライン時は、申し訳ありませんが使用できません。





============ おことわり =============

※OpenGIS Mail Magazine for T.S.Uでは、
 TNTmipsに関わる新しいニュースを、
 毎週金曜日に、皆さまへご提供させていただきます。

※このメールマガジンの転載・転送はご遠慮ください。

================================