Subject: [ts-mag:00145] OpenGIS Mail Magazine for T.S.U 【第 137号】
    Date: Fri, 13 Feb 2004 21:13:57 +0900
    From: Taichi FURUHASHI

OpenGIS Mail Magazine for Technical Support Users      2004/02/13
Keywords: OpenGIS,TNTmips,Slope,GeoFormula,Leader,SML,MacOSX


オープンGIS
テクニカル・サポート専用メールマガジン

第137号「  斜 面 と い っ て も ど こ が い い ?  」
#################################################################
                       株式会社 オープンGIS




スキーシーズンですね。

リフトに乗って、山の上まで運ばれて行きますと、あとは軽やかに滑り
降りていくだけ... でも同じ1つの斜面でも、山頂から麓までの間で、
植物や景色や地形や雰囲気などが次々に変わっていきます。傾斜が急な
ところが「斜面」というような「単なるひとつの斜面」として捉えるに
は、少しもったいない気がしませんか?

さてさて、話を少しずつ GIS の世界へと変えていきましょう。GIS で斜
面を捉えるとすると、まずは標高データ(DEM)が威力を発揮します。多く
の場合は勾配や傾斜方位、ラプラシアンなどの情報を元に利用していきま
すが、もっとシンプルに、1つの斜面を更に細分化して「斜面の上部」、
「斜面の中部」、「斜面の下部」といった具合に、分けて見ると、また
違ったものの見方ができてきます。

今週はそんな、斜面を区分する方法、たとえて言うならば、スキー場の
ゲレンデの中で、「リフト近くの斜面上部」と「滑って楽しい斜面中部」
と「ゴールが見えてきた斜面下部」の抽出方法について考えてみましょう。


●


いろいろな方法が考えられますが、今回はできる限りのことは TNTmips
にまかせてしまう方法で行いましょう。

大まかな流れは、
(1)流水解析で谷と尾根に相当する情報を抽出
(2)それぞれ、谷と尾根からの距離を算出
(3)谷と尾根との距離をみながら、どの部分に位置するかを推測
です。

より具体的なイメージが沸くように、今回目指す目標をご覧いただきま
しょう。 こんな具合に、青いところが斜面上部、緑のところが斜面中部、
そして、赤いところが斜面下部と置き換えることがゴールです。




勿論これくらいの処理では物足りないぞ!! という方は、これをベースに
改良したり、まったく独自のアルゴリズムを開発してみてください。


●


早速、具体的な作業内容についてご紹介していきます。 まず、今回必要
なものですが、今回は [標高データ(DEM)] のみです。これさえあれば、
あとは特に必要ありません。 ちょっと気が楽になりましたね。




(1)流水解析から流路ラインと流域ポリゴンを計算

▽メインメニューより [解析処理]-[ラスタ]-[標高]-[流水解析...]を実行

 


▽[オブジェクトの入力...]ボタンをクリックして、標高データ(DEM)を指定。

 


▽[ファイル]-[実行...]メニューで処理が始まります。

▽[ファイル]-[別名保存...]メニューで、処理結果を保存しましょう。

■このあとで必要なデータは、STDFLOWPATH ベクタと STDBASIN ベクタの
 2つです。どちらも保存されていることを確認してください。

 


これで、谷に相当する流路ラインと、尾根に相当する流域ポリゴンが求ま
りました。




(2)距離ラスタの発生

▽メインメニューより [解析処理]-[ベクタ]-[計算]-[距離ラスタ...]を実行

 


▽[オブジェクトの入力...]ボタンをクリックして STDBASIN ベクタを
 選択。ライン:欄は[すべて]、ポリゴン:欄は[なし] に切り替えます。

 


▽[出力]タブへ移動し、ピクセルサイズを、元のDEMデータとほぼ同じ値に
 設定しておきます。

 


▽[実行...]ボタンを押して、DIST_BASIN と名前を付けて距離ラスタを
 作成します。

■同様に、STDFLOWPATH ベクタからも DIST_FLOW という名前で、距離ラ
 スタを作成します。

 


いよいよ谷からの距離と尾根からの距離も求まりました。あとは、この
距離同士を比較するだけ。ゴールは近いですね。




(3)ジオフォーミュラによる計算

▽ジオフォーミュラスクリプト [斜面三区分] をダウンロードします。
 http://www.opengis.co.jp/sml/sml_index.htm

▽メインメニューより [解析処理]-[串刺し演算機能(ジオフォーミュラ)...]
 を実行。

 


▽3つの方法のうち、一番下の [既存のジオフォーミュラを開く]を選択
 して [OK] ボタンをクリックします。

 


▽あらかじめ、ダウンロードしておきました ComputeSlopeParts_v10.gsf
 を選択します。

▽2つのラスタオブジェクトを聞いてきますので、それぞれ、DIST_BASIN
 と DIST_FLOW に相当する距離ラスタを割り当てます。

 


▽[スクリプト] タブへ移動して、dist_para の値を決めます。

 


ここで、スクリプトが登場しましたね。ただ、いろいろと細かいことが書
いてありますが、一番重要なことは、dist_para という値です。この値が、
斜面中部をどのくらいの広さに設定するかを支配します。そもそものアル
ゴリズムは、「谷からの距離と尾根からの距離の差が、双方の距離を反映
した値(dist_para=2の場合は平均値)よりも小さいならば斜面中部としな
さい」という、大雑把な区分方法です。とりあえず、結果を出したいと
いう場合は、dist_para の値を 1 か 2 として置いてください。ちなみに
dist_para=1 ですと、斜面中部の面積は広くなります。
dist_para=2 ですと、斜面中部の面積は狭くなります。

### 以下スクリプトの一部
dist_para = 1;
if (  sqrt((DIST_BASIN - DIST_FLOW)^2) < 
      (((DIST_BASIN + DIST_FLOW)/2) / dist_para) ){
   result = 2;
}else{
   if (DIST_BASIN < DIST_FLOW){
           result = 1;
   }else{
           result = 3;
   }
}
return (result);
### 以上スクリプトの一部

▽[出力]タブへ移動して、ラスタの種類:欄を[8ビット符号なし整数(0〜255)]
 に切り替えます。

▽あとは、リファレンスに合わせるトグルを押し込んで、参照となる
 ラスタ(例えば、流水解析に用いた DEM など)を指定します。

 

■最後に [ファイル]-[実行...]メニューで、出力ラスタ名を指定します
 と処理が始まります。出力されるデータは、次のような数値で区分され
 たラスタです。
 1: Upper Zone(上部)
 2: Middle Zone(中部)
 3: Lower Zone(下部)





おつかれさまでした。これで、すべての作業が終了です。あとは、出力
されましたデータを見やすいように色分けしながら、結果が良さそうか
見比べてみてください。

ちなみに、dist_para の値を変えるとこのようになります。

斜面中部を広めに設定(dist_para=1)




斜面中部を狭めに設定(dist_para=2)




いかがですか?

もうちょっと、斜面中部は広いほうがいいとか、やっぱり、狭いほうが
いいとか。このあたりはみなさまの好みによってくるかと思いますが...








今週の新プチ・テクニック
"""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""
" 
" 自由自在に引き出し線を引きたい!!
" 
" 
" 地図表現としては常套手段である「引き出し線」も、GIS となると
" ちょっと厄介です。が、TNTmips の場合、例えばこんな引き出し線を
" 引くことができます。
" 
  
" 
" 重要なことは、<空間データエディタ(Spatial Data Editor)> にて
" ラベル要素を編集する際に Leader Line に切り替えてから、[Insert
" Vertex]ボタンを押すことです。
"
 
"
" また、1点 Vertex を入力しては、[Drag Vertex] ボタンに切り替えて、
" 中間点を移動するのが確実です。
"
" 
" 
" TNTmips のラベル機能も、なかなか奥が深いですね。
" 
""""  隔 週 で 新 / 過 去 テ ク ニ ッ ク を 交 互 に 発 信  """"




New Things 最新情報
=================================================================
= 
= 斜面三区分スクリプトを公開 【SML スクリプト】
= http://www.opengis.co.jp/sml/sml_index.htm
= 
=================================================================




■■■■■■ 今 年 も テ キ ス ト 販 売 中 !! ■■■■■■

昨年部数限定でご提供しました「リモートセンシングテキスト」の改訂版を
今年も作りました!! しかも、値段は安く、中身は濃くなりお買い得です!!

同時に、TNTlite の日本語解説セットも、オープンGIS 独自パッチや、
北海道地図さんの GISMAPTerrain サンプルデータと共にリリースしました。

詳しい内容はこちらをご覧ください。
http://www.opengis.co.jp/htm/info/book.htm

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■





バグ・トラブル情報
??? 
??? 
??? MacOSX ユーザの皆様へ
??? 
??? ver6.9 がリリースされ、いくつかのバグが指摘されておりますが、
??? ここ1・2週間で公開されました MacOSX 版の修正パッチに多くの
??? 問題が発生しております。(例えば、Spatial Data Editor が起動
??? しないなど...)
??? 
??? 修正パッチリリースの度に、逐一米国マイクロイメージ社へ報告し
??? ておりますが、現在のところ動作が非常に不安定のため、大変申し
??? 訳ありませんが、比較的安定しております 2004年1月21日付けの
??? 修正パッチをご利用ください。
??? 
??? 大変ご迷惑をおかけいたしますが、弊社での動作検証をパスする
??? 修正パッチがリリースされましたら、再度ご連絡いたします。
??? 
??? 
??? 
??? 





今週の話題 on メーリングリスト
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~ 今週も特にありませんでした。
~ 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 メーリングリストに参加されたい方は、
 info@opengis.co.jp までご連絡ください。
 弊社からの対応は バグ対応と、新製品告知のみですが、
 ユーザーさまの間での情報交換の場として
 多くの方に利用されています。






■■■■■■■ 現 在 の T N T m i p s の 価 格 ■■■■■■■

円高になりましたので、ver6.9 リリースを機に、価格を改定!!
全体的に安くなりました!

・TNTmips シングルライセンス 780,000円(税別・送料別)
・年間バージョンアップ(2回分) 130,000円(税別)
・年間テクニカルサポート 90,000円(税別)


普段より、元価格にあまり上乗せしていない分、
円相場に応じて価格が変動いたしますことを
ご理解よろしくお願いいたします。

わからない点などありましたら、
info@opengis.co.jp までご連絡ください。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■







############# このメールマガジンの配信について ################

このメールマガジンは、
年間テクニカル・サポートに加入されている、
ユーザーさまのみを対象としております。

基本的には、登録アカウント1つに対して
1ユーザーを配信対象としておりますが、
例えば、研究室の予算で加入された場合などは、
ご購入いただいた指導教官と、実際に TNTmips で作業を行う学生1名の、
計2ユーザーを対象として配信させていただきます。

1アカウントに対して合計3名以上の配信は行いません。
学生さん2名が同じくらい使用する場合は、
申し訳ありませんが、じゃんけん等で1人に決めてください。



また、テクニカル・サポートの期限を半年以上過ぎてしまった場合は、
メールマガジンの配信を停止させていただきます。

メールマガジンが配信されなくなった時は、
サポート期限が半年過ぎたとお考えください。



転勤、ドメイン変更などでメールアドレスが変わった場合は、
お手数ですが、弊社までご連絡ください。



テクニカル・サポート活用案内
>サービスその1:緊急なバグ情報はすぐにメール配信します。
>サービスその2:TNTmips に関するどんな質問にも TEL/e-mail/FAX で対応。
>サービスその3:対応は最優先で行います。
>サービスその4:専用FAX質問用紙をお送りします。
>サービスその5:週に1回メールマガジンを配信します。
>サービスその6:展示ブースへご来場の方には特製オリジナルグッズを進呈。
>サービスその7:サポート対応で FTP サイトを 20MB まで利用できます。
>サービスその8:メルマガ・バックナンバー・サイトも利用できます。
>サービスその9:現在計画中です...



「これで年間9万円は安い!!」と感じていただけるような
サービスを提供していきたいと考えております。

よろしくお願いいたします。




============ おことわり =============

※OpenGIS Mail Magazine for T.S.Uでは、
 TNTmipsに関わる新しいニュースを、
 毎週金曜日に、皆さまへご提供させていただきます。

※このメールマガジンの転載・転送はご遠慮ください。

================================